2008年9月19日金曜日

誰かをバカにしないではいられない、、、

ダニエルキイス

「アルジャーノンに花束を」は、名著である。最初に出した短編に比べ、あとで出した長編版は、筋はそのままにエピソードを深く彫り下げてある。

主人公チャーリーは知恵遅れで、何をするにも一人前にはできない。からかわれたり、バカにされたり、余計な仕事を押しつけられたり、失敗させられたりする。そのたび周りの人々(同僚)は沸き、騒ぎ、おもしろそうにするのだ。見かねた一部の人がそれをとがめるが、チャーリーはそれを自分の人気と思っている。愛されている実感をそこに感じている。

チャーリーは新薬の試験体に選ばれ、その作用によって知能が回復し、賢くなっていく。やがてみんなを追い越してしまう。すると、あんなに仲が良かった仲間がよそよそしくなった。チャーリー自身も自我に気づき、あれは人気や愛情での接し方ではなかったと気づく。そして自分の中に、自分より劣った者への軽蔑、階級分けが生じてくる。「なぜ彼らはこんな事も判らないのだろう!」。ますます賢くなるチャーリーは、回りの者をどんどん軽蔑し、愚弄するようになる。友達は減り、孤独を感じるようになる。

チャーリーはつぶやく。「知能が遅れていた頃は楽しかった。仲間も多くいたし孤独や惨めではなかった。誰かの態度に腹を立てたり、嫌いになることもなかった。」

チャーリーはやがて、知能を失い元のチャーリーにもどっていく。友達が戻ってきて彼に優しい声を掛ける。しかし、彼の孤独感だけは消えることがなかった。

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